いつも顔目掛けて飛んでくる拳を守ってきた自分の腕は、結構汚い。
日焼け対策に思われるよう、いつもタンクトップの上に紫外線カットのカーディガンを着ていた。
バッと腕を下ろして、後ずさる。
「随分前にぶつけたやつです、痛くありません、ここどこですか、あの子は何ですか、あなたは誰ですか、私に何の」
「クラブcanadeで君と会った」
動揺を紛らわすように質問を打つけ続ける私を遮った。
ただ一足だけの相棒である汚れたスニーカーから、反射的に顔を上げる。
私に差し出した腕は降ろされていて、何処となく、さっきより柔らかい表情をしている。
「何度か会話もしてるが、覚えてないか」
一応、女の端くれだ、こんなイケメン、なかなか忘れないだろう。
