常磐が東の対に行った時には、ある若者と朝日が仲良さげにに話しておった。

「月を見つつ、肴を………と、思いますよ。嗚呼、なんて綺麗なんだろうか。貴女にも見せたい。」

「まぁ。」

(五月蝿いわね。お黙りなさい。)

常磐はたまたまその若者の近くにいた。

「これ、女房殿。そなたのお仕えする姫様が月を見とうと仰せだぞ。」

これを聞いた常磐は一瞬、何があったか分からなかった。朝日の顔も曇っている。

「あの、その人は………」

朝日は、それを言おうとした。が。