松の襲と紅梅の襲では、どうしても紅梅の襲の方が目立つので、やはり、朝日の方が目立っていた。

常磐は、それが面白いとは思わなかったし、何だか悲しかった。

余談であるが、二つの襲を簡単に説明すると、紅梅は赤系色、松は緑に紫である。

賑やかな宴。それに対して、なんて静かな常磐の対の屋。

姉、朝日が住まう東の対は、寝殿とまではいかないが、賑やかであり、若い人が沢山いた。

常磐は、羨ましかった。

「噂ではお聞きしておりましたが、お美しいですな、朝日の君。」

「お上手な。そんなことは、ありませんわ。」