常磐には、三歳歳上の姉がいた。

彼女は旭子(あきらこ)と言う諱を持っていたのだが、美しさと聡明さから、朝日の姫君と呼ばれていた。

因みに、常磐は、常磐の姫君である。度々申し上げているが、常様である。

常磐の姉、つまり朝日には、双子の姉妹がいた。貴子という。しかし、この人は生まれる前に死んでしまった。

彼女はたまに、その今は亡き貴子を思い出しては、悲しんでいる。なぜだか、記憶があるらしい。


さて、ある日の事だが、二人は新しい装束を仕立て、近いうちにあった宴で着た。

常磐は松の襲、朝日は紅梅の襲、それぞれ細長を着ていた。