長い髪も、本人の顔も美しく、また教養もある姫君であるのに………家格は低い訳でもないが、なまじ高い、というわけでもないのだ。

(美しくていらっしゃるのに。まぁ、哀しいかな。最近は、よく沈み込んでいらっしゃるわ。)

常磐は今年で十四になった。
そろそろ、世の中の姫君は結婚を終える年だ。

常磐もそれまでは、立派に姫君としての誇りを持っていたのだが、父君が持ち込んでくる縁談の相手の家格があまり高くないので、自然とそれに気がついてしまったのだ。

(私なんて、どうせ………そんな低いお家で、よく、私に頼めるわ。信じられない………)

そう思って、全ての縁談は却下していた。