朝日は才色兼備な姫君として知られている。
達筆で、歌も上手いと。

しかし、それは常磐である。
朝日も確かに頭は良いが、根は頭でっかち。

「横笛の名手だなんて、嘘っぱちよ。私の方が得意じゃない。なあに?尾鰭をお付けになりたいのかしら?ねぇ、お姉様?」

暫くの沈黙が走って、その後すぐに、男が立ち上がり、元来た道を行ってしまいそうになった。

「どうされましたの?」

「いやぁ、頭が良くていらっしゃるのに、分からないのですね。」

不貞腐れた声。
あは今にも泣きそうだった。