温かいコーヒーが全身に染み渡る。 残っていたアルコールがじんわりと抜けていくよう。 ふぅ、とひと息ついていると、牧田さんはトーストを一口齧り、徐ろに口を開いた。 「初めて見たの、ここだったんだ。」 え?何のこと? 「ルカちゃんを見たの。」 え?私この店に来たことないけど。 「ここでモーニング食べてる時にね、凄く綺麗に泣いてる女の子を見たんだ。」 ここの窓からだよ、と指を指して言った。