「今日もいい子にしてたみたいだね」


 甘やかに細めた瞳の色は銀色で、口許はいつも薄く笑っている。この男はヒソカと名乗った。


 大学帰りの私を連れ去り、ここに閉じ込めた張本人。


 私をこの部屋に押し込めた途端、この男は私の首を緩やかに絞めた。そうしてベッドへ放り出されて咳き込む私を、ヒソカは妖しく揺れる笑みで見下ろして告げたのだ。


 大人しく僕の言うことに従ってくれるうちは、君の身の安全は保証すると。けれどもし自分から逃げようとしたのなら、君を殺して僕も死ぬからねと。


 薄く微笑んだ彼の瞳にぞくりとした。彼の告げた言葉は脅しなんかじゃない。私が少しでも逃げる素振りを見せたなら、彼はきっと躊躇うことなく本気で私の首を絞めるだろう。


 狂気の滲む笑みを見せつけられて、彼に逆らう気力なんて残されていなかった。