終わりで始まる進化論~第一部~


そういう類には微塵も興味を示しそうにない羽柴が、まさか結婚して子供を授かっていたのは驚きだった。




奥さんはどんな人なのだろうか。どうしようもない変人か、究極のマゾヒストに違いない。




いや、案外常識人な美人かもしれない……なんて、それは悔しいので絶対無いと願いたいが。




「あんな遺伝子を私自身が残す失敗はしません」




「ちょ、我が子に向かってなんて事を!」


「やめてください。彼は私の息子じゃありません、私の兄です」




「羽柴さん。さすがに若作りにも無理があるでしょう」




しれっと答え返してきた羽柴に思わずナツキも冷静にツッコミを入れた。当然だ、どう見繕っても青年レベルにしか見えない羽柴に対し、相手は完全に子供である。





確かにアリスの一件では勘違いもしたが、あれはどう見ても羽柴の兄には思えない。