いつもの皮肉とは違う言葉が不思議と体に染み入ってくる。通信機の向こう側にいる相手の声だけで、ナツキ自身の恐怖心からも救われるような不思議な感覚だ。




やはり、普段は食えない狐だが、羽柴も上にたつ人間だ。人を動かすのに絶妙な匙加減をついてくる。




この人に認められたい、と言う思いがより一層強まっていく。



「よし、行こう」



ナツキは羽柴にではなく自分自身の士気を高める為、そしてこれから共に戦わなければならない相棒・シュタールアイゼンへと声をかける。



勿論生き物ではないそれの反応は無いが、それでも構わない。誰かと共に戦っている。その状況が奮い立たせてくれるのだから。