女性に口にしてはいけない言葉だと分かっていながら、ナツキ自身が勝手に来ておきながら図々しいと思うがついて出た言葉は止まらない。




目の前のアリスが初対面の時に鞄で殴ってきた時と同じ表情。
ナツキは一度怯みそうになったその時、蝶の姿の女の羽が羽ばたいて風を作り、金色の粉を撒き散らしてきた。




「ギギギギャギャギャギャ」



主人を守ろうとヴェルベットアイが奇声を発して羽へと噛みついていく。先ほどのトロールへの攻撃と同じく喰いちぎろうとしたのだろうが、大きく身体と言える茎を逸らせて羽から口を離す。



「ギギギエエエエアアア!」



苦しむような音と共にヴェルベットアイは花びらを地面に擦り付ける。悶え苦しむ人の姿の様な姿に、アリスは相棒の元へと血相を変えて駆け寄る。




「ど、どうしたの!?しっかりして、ヴェルベットアイ!」



呼びかけに反応するように葉を動かしながらも、ヴェルベットアイの花びらはトレードマークの赤から紫めいた斑点が広がっていっている。



花は萎れて化け物の姿から、軌道前の小さな愛らしい手乗りサイズへと変わり、アリスの手の中で弱弱しく鳴いている。



「キュキュウ……」



「これは……毒!?」