「数は三体。アリスくんからすれば、経験範囲内です。しかし、油断は出来ません。アリス君、ノア君が前線、シノミヤ君はサポートに回ってください」





「あの、俺は……?」




視線を一斉に浴びたナツキは居たたまれなくなったものの、ここで引き下がれば本気の役立たずである。




挙手した手を引っ込めたくなるのを抑えて、問いかけてみた。




「前線なんて盾になりに行くようなもんですからね。今回はシノミヤ君、君がついてください」




「はあ!?何で俺がこいつを……!第一こいつの武器は近距離向きだろ!」




明らかに不満の色を示したシノミヤが抗議したが、何時もの暢気な口調とは違い、張り詰めた空気からか淡々とした返答が羽柴から戻ってくる。




「先程説明しました。彼をまだ盾に使うわけにはいかないんですよ。それに、シノミヤ君なら多少の事はカバー出来るはずです。私の期待の秘密兵器ですからね」




広角を上げる微笑みには反論は許さない雰囲気もだが、シノミヤを黙らせる言葉も添えてある。



全ては彼の策略通りなのか、シノミヤは舌打ちを溢したのみで引き下がった。






「では、行きましょうか。我々も東部に負けてはいられませんから」