「うわああああああ……!」





頭が痛む。鈍器で殴られたような痛みに、視界が歪む様で、シノミヤの姿も霞んでいく。






「おい……おい、ナツ?!」





気持ち悪い……、目眩なのか吐き気もするが、シノミヤの声でさすがに冷静さも戻ってきた。





「何でも……ない、ごめん。シノミヤ……、交換条件があるんだ。俺は……コンダクターの情報を少し持ってる。その代わり……シノミヤ達の事を俺は詳しく知りたい。



羽柴さんや、シノミヤ、それにノアの事……俺には、全然分からない。これから戦う上で、俺だけ何の情報も持てないのは、やっぱり痛手だよ。俺が見たことを話すから、シノミヤも知ってること教えて欲しいんだ」





「……」




半々の状況のシノミヤは暫し決めあぐねている様だったが、暫くして静かに承諾の返事が返ってきた。





「分かった。コンダクターの事で俺はお前に怪しいと思うことがあれば、お前を生かす約束は出来ねえ。セカンドタイプの駆除は俺らの仕事だ」





「……分かってるよ。その代わり、俺もシノミヤの情報の裏取りはさせて貰うつもりだよ。シノミヤ達がテロリストって疑惑は勿論俺の中であるわけだし、お互い様だよ」





互いに疑心暗鬼になって自滅するより、今ここで持っている情報の開示を示した方が良いとシノミヤも踏んだのだろう。





つくづく、ただの信頼関係や友好関係だけの相手ではないらしい。




確かに目の前の相手が本当に同じクラスに存在していたら、絶対に仲良くはならないタイプだろう。





それでもクラスメイトとは違うこの不思議な縁の、信頼と居場所を勝ち取るには、この方法しかない。




シノミヤもコンダクターの情報開示はまたとないチャンスなのだろう、殺風景な部屋の椅子に腰かけて語り始める。





それは……ナツキがまだこんな組織を知る随分前の物語。