小さな溜め息と共にシノミヤはナツキの方へと腕を伸ばす。
勿論、リュカに向けた銃はまだ下ろされないままに、ナツキへと静かに向けられた。
からかいを含んでも、普段のふざけた脅しでも、教室で出会ったどこかナツキをからかい風な小馬鹿にした態度でもなく、その静かな狂気はナツキを捕らえる。
「し……の、みや?」
「半分正解だ」
「え……?」
「悪いが所長の意図は俺も全部掴めてる訳じゃねえよ。だから、半分正解だ。本部や西部の人間は、確かにお前の母親の事は知ってた
……ただお前が、侵食事件の学校に居たのは、潜り込む直前に知った。情報源は羽柴(あの人)だ。
ほとんど侵食されいく中でアホみたいに保健室で寝てる奴がいるなんて普通は考えねえだろ。俺もほとんど最初は……いや、ついこの前までお前は、巻き込まれた不運な奴としか思ってなかった」
「ついこの前までって……どう言う意味だよ……?」



