終わりで始まる進化論~第一部~


いや、侵食されていない人間を殺すという罪悪感はあるだろうが、例え侵食がどうでも駆除する対象は人間と人間だったものなのだから、余り代わりがない。






だとしたら、あの日何故シノミヤ……いや、彼らはナツキを生かしたのか?勿論、侵食していない事もあるだろうが。





「母さんと、シノミヤ達は何か関係があったんだんじゃないの?そして、本当は俺の事もシノミヤは知ってたんじゃないの?


リュカ君が言ったのは母さんの事で、西部支所の人とかと関わりがあったとか……だから、俺の名前を知ったシノミヤは眠らせる事にしたんだ。羽柴さんからの指示だったのかもしれないけどさ、その辺は」





そうだとしたら、情報と人質の意味も少し変わってくる。





羽柴が知りたいのは侵食事件もだろうが、もっと以前の事かもしれない。





だとしたら、ネイティアの……つまりはナツキの母親からの情報を手に入れようとしていたのではないか?





そして行方不明の研究室の管理者……何も口にせず亡くなった母親。




全ては嫌な方向にしかナツキの考えは向かなくなっていた。