「ねぇねー、マリ~」

「んー?」

「おなかすいたあ~」

「まだ1時間目だよー?笑笑」

気の抜けた何気ない会話。

あの合同練習から1週間ほどたった金曜日の朝。

情報通とうわさのマリなら知ってるかな。聞いてみようかな。

「あのさぁ、テニス部同級生で、髪型はソフトモヒカンかな。んで長澤ってゆー人知ってる?」

「あ〜。そりゃあ知ってるよー。てか知らないの!?」

「へ?なに、有名な人なの?」

「長澤真琴だよ!あの全国大会制覇した!あの人の弟だよ!」

「ええええ!?あ...」

私の驚く声が教室中に響きわたる。ちょっとハズイ...。

「彼は長澤雅人。ながさわ弟自身はそんなに強いってわけじゃないけど。なに~?気があるのー?笑笑」

なんて、かるくイジってくるマリ。

「んー。どーだろね笑」

とりあえず適当に返しておく。

どーだろ、私、彼が好きなのかな...。一目惚れってやつ?

「次の合同練習、今度の土曜日あるみたいだし、話しかけてみれば?」

「えー無理だよー。」

なんて感じで、この話題は終わった。でも、まだやっぱり雅人くんが心懸りだ。