「いいか。強くなりたかったらほかの強い選手をよく見ろ。どうプレイしているかしっかり見るんだ!」

顧問の安田先生がそう、力強く言う。

「あ。あの人、また11点差だ。」

あの人のように、とても強い人はいくらでもいる。でも...。

誰だろ、あの人。

なぜかその人から目が離せなかった。

特別強いわけでもない。でも、見てすぐにわかる。ほかの人以上にすごく頑張ってるな。

「長澤ぁー、一回休憩とるぞー。」

彼の先輩らしい人の声。

行っちゃった...、長澤くん、ってゆうんだ。あのユニフォームは旭中かな。

って!気にしない気にしない!

でも、やっぱりその後も気になって。

先生の声が全然耳に入らないや。

練習中は彼のことしか考えられなかった。

ああ、今日の私ダメだ。全然やる気がない。

そのまま合同練習は呆気なく終わっていった。