真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

絶対絶命のピンチに見舞われながらも、男の力の前では女の私は抵抗も虚しく、ジークに両手首を押さえつけられて、真上から見下ろされていた。

私、広務さんに一度も抱かれないまま、これからジークに無理やり抱かれてしまうのーー!?

私は貞操の危機と共に、広務さんを最も傷つける行為に及ぶ事に、底無しの恐怖と絶望をいだいた。

最後の抵抗で、せめてキスだけは容易にさせまいと、私はジークから顔をそむけて唇を固く閉じた。

するとジークは、唇よりもはるかに無防備になっている私の首筋に、自分の唇を押し当ててきた。

「......っ!」

柔らかくて生温かいジークの唇の感触に、私の身体は屈辱的にもビクッと、甘く震えた。

なんで......っ!? 私、酷いことされてるのに.....!

広務さんと、じゃないのにーー。

「かわいい......」

うっとりとしたジークの声に嫌悪を感じながら、私は、ふと彼が私を押さえつける力を弱めたことを見抜き、覆い被さっていたジークの身体を精一杯の力で押し退けて、やっとの思いでベッドから逃げ出した。そして、部屋の中をサッと見渡して、ベッドサイドに畳んであった自分のワンピースを抱きしめるように持つと、身をすくめてジークを睨んだ。

「優花、実技はまだ終わってないよ。やっぱり明るいうちは恥ずかしい? それに引き換え、昨夜の優花は、まるで別人だったよ。オレの腕の中で、あんなに乱れて......」

首筋へのキスで私の身体が反応したことが分かったジークは、押し退けられたにもかかわらず、余裕の面持ちを崩さない。 

一気に弱味を握られたみたいで悔しい。そして恥ずかしくて、情けなくて、何よりも屈辱的......。 

でも、怯んではダメだ。 

だって、私には大切な男(ひと)がーー。 

「ジッ......、ジーク! 悪ふざけは、やめて!」

「ふざけてなんかないよ。昨日も言ったけど、オレは本気だよ。......成瀬 広務には、絶対に優花は渡さない」