広務さんは私の姿を確認した直後、クルッと首を横に向けて私の隣に悠然と座るジークを睨んだ。
そして、ジークもまた眉頭を寄せて広務さんをじっと見据えた。
この真夏の晴天に。明らかに、ここだけが暗雲が立ち込めているのは第三者が見てもすぐに分かる。
一触即発の事態を回避しようと、私は先ほどジークから受け取ったトロピカルジュースを慌ててベンチに置き、それから急いで立ち上がり広務さんとジークにお互いを紹介した。
「ひっ......、広務さん、こちらジークフリート・モルガンさん。同じマンションのお隣さんなんです。さっき偶然会って......」
広務さんは私の声が耳に入っていないのか、それともしっかりと入っているのか.......。ずっと、ジークを睨んだままだ。
「ジッ.......、ジーク、こちら成瀬 広務さん。結婚相談所を通じて知り合って、今日は花火大会に誘ってもらって......」
お祭り客達のガヤガヤとした話し声に混じった私の声は、イケメン二人の無言の睨み合いの中を虚しくこだました。
先に沈黙を破ったのは広務さんの方だった。というか、彼はジークではなく私に声をかけた。
「優花さん、行きましょう」
広務さんは、私の手をギュッと握るとジークには目もくれずに前を向いた。
私は、あたふたして。広務さんに手を引かれつつも、ジークのことが気になり彼を見た。
ジークは広務さんの背中を睨みつけながら去って行く彼に何か言った。
「Cheater......(浮気者)」
ジークの言葉が耳に入った広務さんは、足を止めて素早く振り返った。
「Do not be sloppy.(いい加減なことを言うな)」
英語が全く話せない私には、二人がどんな言葉を交わしたのか分からなかった。
それでも、ジークとはそれまで目も合わせなかった広務さんが、最後に足を止めて彼に言葉を放ったのは、ジークが広務さんに何か決定的な一言をいったからだと分かった。
そして、ジークもまた眉頭を寄せて広務さんをじっと見据えた。
この真夏の晴天に。明らかに、ここだけが暗雲が立ち込めているのは第三者が見てもすぐに分かる。
一触即発の事態を回避しようと、私は先ほどジークから受け取ったトロピカルジュースを慌ててベンチに置き、それから急いで立ち上がり広務さんとジークにお互いを紹介した。
「ひっ......、広務さん、こちらジークフリート・モルガンさん。同じマンションのお隣さんなんです。さっき偶然会って......」
広務さんは私の声が耳に入っていないのか、それともしっかりと入っているのか.......。ずっと、ジークを睨んだままだ。
「ジッ.......、ジーク、こちら成瀬 広務さん。結婚相談所を通じて知り合って、今日は花火大会に誘ってもらって......」
お祭り客達のガヤガヤとした話し声に混じった私の声は、イケメン二人の無言の睨み合いの中を虚しくこだました。
先に沈黙を破ったのは広務さんの方だった。というか、彼はジークではなく私に声をかけた。
「優花さん、行きましょう」
広務さんは、私の手をギュッと握るとジークには目もくれずに前を向いた。
私は、あたふたして。広務さんに手を引かれつつも、ジークのことが気になり彼を見た。
ジークは広務さんの背中を睨みつけながら去って行く彼に何か言った。
「Cheater......(浮気者)」
ジークの言葉が耳に入った広務さんは、足を止めて素早く振り返った。
「Do not be sloppy.(いい加減なことを言うな)」
英語が全く話せない私には、二人がどんな言葉を交わしたのか分からなかった。
それでも、ジークとはそれまで目も合わせなかった広務さんが、最後に足を止めて彼に言葉を放ったのは、ジークが広務さんに何か決定的な一言をいったからだと分かった。


