真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～

広務さんは車を駐車場に停めると、駅で私をエスコートしてくれた時と同じように、わざわざ助手席側に回りドアを開けてくれた。

「足元、気をつけてください。砂利道なので」

下駄を履いている私を気遣って彼が声をかけてくれた。

私は巾着を持ち浴衣の裾を押さえながら、つまずかないよう気をつけながら車を降りた。

車から降りた私は、隣に立つ広務さんに視線を合わせた。

こうして隣合うと、彼の背が高いことが改めてわかる。

彼と視線を合わせようとすると、どうしても上目遣いになってしまい、なんだか似合いもしないくせにブリっ子をしているようで恥ずかしい。

しかし、不可抗力で出来上がったブリっ子の私に対する彼の眼差しは、心なしか熱い。

「今日の花火大会に、優花さんを誘って本当に良かった」

気温３２度の中、彼はその涼しげな瞳で私をまじまじと見つめながら言った。

「えっ......、どうしてですか？」

「優花さんの浴衣姿が見られたから。その浴衣、とてもよく似合ってます。かわいい......」

これは上目遣いの相乗効果なのか？

広務さんは満面の笑みで私の浴衣姿を褒めてくれた。

そして、彼の満面の笑みは気温３２度を叩き出す真夏の太陽よりも、はるかに私の胸を熱くさせた。

ハートが溶け出して頭がクラクラになった私はフラフラと、おぼつかない足取りで歩き始めた。

すると、ギュッと熱くて弾力のある何かが私の指先に触れた。

何だろうなと思い、自分の手元を見ると。頭がクラクラしているせいか、ほんの数秒足らずの光景であるにもかかわらず、私にはそれがまるでスローモーションのように映った。

私の右手と隣り合っていた彼の左手は、するりと私の指先を辿り、気がつけば彼と私の手はしっかりと繋がれていた。