真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

父と別れた母は故郷であるニューヨークへ帰り、私と二人で暮らすための環境を整えたのちに再び日本へ戻った。だけど、父方の祖父母が私を母へ引き渡すことはなかった。

それでも、私との繋がりを見出したかった母は、

「優花ちゃんが生まれた時、あなた名義で作った銀行口座に毎月貯金をしていたの。そうすることで、私はあなたの母でいられた。それから苗字も日野のまま」

「え......っ!、 お母さん......、お父さんとはーー!?」

「籍は入ったままよ......」

一寸も想定していない事実を聞かされて、私は雷に撃たれた如く凄まじい衝撃を受けた。

まさか父の再婚が事実婚だったなんてーー。

「どうして......!?」

「あなたのお父さんにイイ女(ひと)ができたこと。そして、あなたが祖父母と暮らしていることは一時的に日本へ戻った時に聞いたわ。それでお母さんはね、時が経っていずれ、あなたがおじいちゃんとおばあちゃんを見送った後もあなたを決して独りにさせないために、戸籍はそのままにしてほしいと、お父さんに言ったの」

そんなこと......父からも、祖父母からも、何も聞かされていなかった。

......じゃあ、ずっとお母さんは私のそばにいてくれたのーー。

長い間抱え続けてきた孤独感。それは、まやかしだった。

私は胸の中で、千切れていた細い糸が結ばれてやがて無限の強い絆になっていくのを感じた。

遠く離れて会えなくても途切れない真心。

母の私への想いは更なる真実を教えてくれた。

「お父さんと別れてから、一度だけ連絡があったわ。あなたが高校を卒業する頃よ。”優花が大学に進学したがっている”って......。その言葉を聞いて悟ったわ。今こそ娘のためのお金を使う時だって」

「つまり、それって......学費はお母さんがーー」

度重なる真実に驚きを隠せない私が目を見開いて問いかけると、母は少しだけ口元を緩ませながら小さく頷いて、それからこう言った。

「あなたは大学生の頃と全然変わらないわ。”会えなくても、せめて姿だけは見たい”って、あの人に言ったら、入学式の写真が送られてきたわ」

「そうだったんだ......。だから、お母さんは再会した時すぐに、私だと気が付いたのね」

「そうよ」

母はそう言って、この日一番の明るくて穏やかな笑顔を見せた。