真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

吸い寄せられるように自然と足取りが向き、引きつけられるようにショーウィンドウの前に立った私は、ガラス越しに輝くエンゲージリングを見つめた。

精巧なブリリアントカットが施された美しいダイヤモンド。断面一つ一つに太陽の光が反射して、まるで内側から発光しているかのように煌めいている。

たとえ何の思入れもなくても、きっと誰もが魅了されてしまう、その宝石に私は余計に感情を揺さぶられる。

ショーウィンドウに飾られていたエンゲージリングは奇しくも広務さんが私へ贈ってくれたものと同じデザインだった。

プロポーズをしてくれた時の記憶が鮮明に蘇った。

付き合って半年後のことだった。

夜景の見えるフレンチレストラン。

バラの花束。

ディナーの最後に登場したケーキに書かれていた言葉は”結婚してください”だった.....。

「......っ」

泣いてもしょうがないって分かってる。でも、時間を巻き戻したい。って思う気持ちがとまらない.......!!

私はショーウィンドウを鏡がわりにして、次々と溢れてくる涙を拭った。

何度涙を拭っても、またすぐに視界が滲む。

泣き顔でエンゲージリングを見つめたまま身動きが取れない。

こんな状態じゃ、母に会うことは出来ない。

ううん、

私が今会いたいのは......。

「俺は......夢を見ているのか?」