私は実加の助言に返す言葉が見つからなかった。

図星……。

この気持ち、うやむやに出来ないくらい重症だ。

この前、結婚相談所に行った時に知った真実。

広務さんが真心で私にプロポーズしようとしてくれていたこと。

私は、そんな彼の気持ちを信じられずに自ら別れを選んだ。

広務さんを信じきれなかった自分の浅はかさを強く後悔している。

私は、どうして広務さんを信じることができなかったんだろうーー。

実は、その答えは明白で……。

自分の胸に手を当てて聞いてみると、すぐに母を思い出した……。

母はすぐに戻ってくると言い残して、私をおいて家を出ていった。

幼い私は母を信じて待ち続けた。

でも、母が帰って来ることはなかった……。

「優花、……ゆうかっ!」

「……えっ!?、あっ、ごめん。ぼーっとしてた」

「終業時間だよ?」

母のことを思い出して、すっかり感傷に浸りすぎていた私は、終業のチャイムにも気がつかず心ここにあらずの状態でパソコンの画面をぼんやりと眺めていた。

「私も帰る」

先に退社の準備を済ませていた実加に告げて、私も急いでパソコンをしまった。

「お待たせ。行こう」