真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

「......」

私からの告白に、彼からの返事は無かった。

分かってたはず。この再会によって、これから彼とどうなろうとも思ってない。

今日、偶然に広務さんと再会する前に気づいたこと。立てた誓い。劣等感を武器にして男性に頼るのをやめること。そうすれば自立できる。

頭では理解してるのに......。それでも、理性を押して、高鳴る胸の鼓動は強く彼を求めてる。

融通の利かない感情を押さえ付けるために、私は瞳を独占する彼の姿を消し去ろうと視線を下へ向けた。

その時、迂闊にもフレームインした彼の左拳は、無口な唇に相反して饒舌に今の心境を語っていた。

強く握りしめられた広務さんの手のひら。その中には、決して露呈してはいけない感情が封じ込められている......。

「優花は今......、彼氏とかいるの?」

「えっ.......!?」

「いや......、一人でニューヨークに来たって言ったから、もし何か困ったことがあったら、誰か頼れる人はいるのかなって」

私が力の入った握りこぶしを見つめていると、強い視線を感じ取った彼が突然核心をついた質問を投げかけてきた。

「今は......いないよ」

「そっか......。もし、何か困ったことがあったら言って。明日の午前中までは、このホテルにいるから」

ーーそれだけ?広務さん、本当にそれだけ?

「俺、ダメだな......。もう優花の彼氏じゃないのに。また、過保護になってる」

確かに私達はもう、恋人同士じゃない。でも、広務さんの胸の内にも恋人の欠片が眠ってるって私、気がついてしまった。

そうなったら、もう理性で感情を押さえ付けることが出来ない。

「......広務さんは、彼女とかいないの?」

私は暴発した感情任せに彼の近況に迫った。

「いないよ」

広務さんは私の瞳をじっと見つめながら透かさず”YES"のフラッグを立てた。

そして、まるで運命にお膳立てされているかのように。彼と私はタイミングよく今夜の部屋の前まで辿り着いた。