真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

これなら一安心ーー。

昔に比べていくら治安が良くなったからって、やっぱり、真夜中のニューヨークに女一人で繰り出すのはリスキー過ぎる。

フロントの女性の配慮で今夜の宿泊先まで無事にタクシーで着いた私は片言の英語で運転手さんにお礼を言い、ついでに慣れないアメリカ式に法って恐る恐るチップを差し出した。

「サ......thank you.」

「my pleasure.」

タクシーの運転手さんは社交界の紳士のように手のひらを胸に当てて軽く会釈しながらにっこりと微笑んだ後、私が差し出した幾らでもないチップをスッと受け取った。

日本人の女性がこんな真夜中に一人で移動するなんて、きっと何かワケがあるんだろうと、運転手さんも察してくれたようで終始親切にしてくれた。

ホテルの入り口すぐにタクシーを横付けしてくれたおかげで、ほんの数歩、歩くだけで中へ入ることができた私は、想像していた通りのこじんまりとしたホテルのフロントで早々に受付を済ませた。

ーーよかった。やっぱり、日本語はあんまり通じる感じじゃなかったけど......、チェックインの手続きはどこも同じようなものだから、案外スムーズにできた。

早く休もう。

ガラガラと、キャリーケースを引いてロビーからエレベーターまでの間を歩いてる途中で壁に寄せて置いてある、少し年季の入った革張りのソファセットに若い男性二人組が座っているのが横目に入った。

......何となく、嫌な予感。

どんな話をしているかはわからないけど、こっちの方にチラチラと視線を感じる。

時間はとっくに深夜を回っているし、さっきチェックインをした時のスタッフは席を外していて、いない。

あの男達に声をかけられないように気をつけなきゃ......!

男達と目を合わさないように足早にエレベーター目指して歩く。

もうすぐ。エレベーターにさえ乗っちゃえば......!

「Evening.」

ーー遅かった。

陽気を装って声をかけてきた男二人組は私より頭二つ分背が高く、体つきも、がっしりとして、それでいて私を値踏みするような卑しい目つきでニヤニヤと笑っていた。

「ノッ、No thank you.....!!」

私は男達を拒否しようと、こみ上げる怖さを押し殺して声を振り絞った。

『観光で来た子?こんな時間まで遊んでたの?ねぇ、オレ達とも遊んでよ〜』

「No thank you.....!!」

『オレ達が英語教えてあげるよ〜』

男達は、私がいくら拒否してもしつこく付きまとってきた。

"No thank you"を繰り返しながら、男達を振り切るように歩く。エレベーターに一緒に乗り込まれたら、おしまい。どうしよう。誰か......助けて!!

「Get away from my steady.(俺の彼女から離れろ)」