真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

さぁ......ここからが大変で、勢い任せに部屋を飛び出してきたのはいいけれど、目的のホテルまで行き着くためにはどうしよう??

いざという時に無力な自分に、ホント嫌気が差す。

でも、うなだれてる暇なんか無い。広務さんと別れたのも、ジークと決別したのも全部自分で選んだことなんだから。

私は今まで自分のことをなんの取り柄も無いただのお茶汲みOLとか思ってて、半人前の人間だと思ってた。

だけど、今夜の決断は初めて自分を褒めてやりたい。

劣等感を笠に着て男性に頼るのを辞めれば、自立できることに気がついた。

未知のことだから、もちろん怖さはあるけど。それよりも、くすぶっている好奇心を武器に進もう。

自立の第一歩として、まずは今夜の宿泊先に無事に到着する......!

とりあえず、フロントに向かった私は中学校で習った英語の基本、知り得る限りの単語を駆使してホテルスタッフとの会話を試みた。

「Excuse me......」

「ご安心ください。当ホテルでは日本語での対応も可能です」

私が、しどろもどろで話し始めると受付の女性は優しく微笑んで滑らかな発音の日本語で話してくれた。

......さすが、五つ星ホテル。

そうだよね。これだけの高級ホテルともなれば在籍してるホテルマンも一流で日本語どころか各国の言葉を話せて当然なわけだ。

それにしても、ここが高級ホテルでよかった。思わぬところでジークに感謝せざる得ない......。

でも、これから行くホテルはそうはいかない。きっと日本語なんか通じない。

「あの......、私だけチェックアウトしたいんですけど」

「今からでございますか!?」

「......はい」

そりゃあ、受付の人も驚くよね。

「承知いたしました。......しかし、お客様。この時間帯に女性お一人で外に出られるのは危険です。もし、行き先がお決まりでしたなら、タクシーを手配いたしますが?」

「はい。では、お願いします」