真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

私は彼の電話番号を見つめながら迷っていた。

どうする?本当に電話をかける?

人差し指をスマホの上にかざして後は番号をクリックするだけ。

そんな簡単な動作ができないまま、時間だけが過ぎていった。

このままじゃ行き場をなくしてしまう。

冷静に考えて。広務さんとはもうとっくに別れてる。ジークとも終わった。私は今、独り.......。

ようやく悟って、広務さんの電話番号の上にかざした指先をしまった。

それから、再度スマホを操作してどうにか今夜泊まれるホテルを検索してみた。

すると幸いにも日本語ガイド付きのホームページが見つかりアクセスを試みると、なんとか一軒のホテルに当たり、やっとの事で今夜の宿泊先が見つかった。

......ふぅ。っと、心の中でため息をついた。

それにしても、ジークと一緒の部屋に置いてある私の荷物はどうしよう?

そんなに量は多くないけど。今から取りに行くしかないか.......。

ここは48階。昨日とまった部屋も高層階にある。移動するのにそんなに時間はかからない。

私は荷物を取りにジークと泊まった部屋へと戻った。

扉を開けると真っ先に瞳に飛び込んで来たのは、一点の曇りもない透明な窓から望む星屑を散りばめたような洗練された夜景だった。

まさしくセレブの象徴のような景色。

私には縁がなかった。それでいい。

一刻も早く部屋を出たくてキャリーケースに半ば放り込む形で荷物を詰め込んだ。少々お高いよそ行きのワンピースが皺になるのも仕方がない。

いつジークが部屋へ戻ってくるか分からない。

とにかく、今はひたすらに顔を会わせたくない。

そうゆう理由で。私はLINEを送るよりも、ドレッサーに備え付けてあったメモに、「別の場所に泊まります」と、一言だけ残して早々に部屋を出た。