真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

内心、私はジークの告白にひどく動転していた。

そうした精神的負担は強烈な、めまいを引き起こして、それから動悸で胸を狂わせた。

”ーーごめん”

強いストレスで意識を失いそうになりながら、かろうじて頭に残ったジークの一言。

こんなに簡単に済ませようとする気......!?

あなたの嘘がどれだけ私の人生を狂わせたと思っているの.......っ!!

抑えようのない怒りが込み上げた。

「もういいわ。これで終わりにしましょう」

私は平静を装ったふりをして、バーカウンターから立ち上がった。

ジークには取り乱した姿をどうしても見せたくなかった。

飲みかけのカクテルを残してジークには目もくれずに冷たく背を向けて歩き出した。

いつもなら追いかけてくるはずのジーク、だけど、この時ばかりはカウンターに腰掛けたままじっとして声をかけてくることすらなかった。

この男(ひと)と、本当に終わった。

何もかも、終わったんだ。

正真正銘の独りになってようやく隅々まで考える。

ジークは私に嘘をついていた。

私は彼の嘘を信じ切っていて、ずっと罪の意識に苛まれてきた。

あの夜さえなければ、私は広務さんとうまくいっていたと......。

でも、本当にそう?

ジークとバーで会うよりも先に私は寂しさに負けてしまってた。

広務さんを想って待つということが出来なかった。

いや、結果的にやはり待つべきではなかった。

広務さんは、私の与り知ら無いところで女性と密会してた......。

しまい込んでいた記憶が不意に蘇る。

ほろりと落ちた涙を拭い外に目を向ければ、そこには、つい数日前にジークと見た煌めくニューヨークの夜景が佇んでいた。

今夜は、どうしても他のホテルを探そう。

バーを後にして以来、私はジークへの連絡なしに急ぎ、どこか別のホテルを探した。

しかし、ニューヨークへ来たのも初めて、英語もろくに話せない、こんな状態の私の宿探しはすぐに暗礁に乗り上げた。

せめてニューヨークに知り合いでもいれば......。

困り果てて無作為にスマホをスクロールした。すると名前の登録のない電話番号が見つかった。

末尾4桁で彼の番号だとわかった。

2年ぶりだった。広務さんの電話番号を検索したのは。

もしかして、広務さんなら助けてくれるかも......?