真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

身体が強張った。

シーツを強く掴み素肌で身悶える醜態。

薄暗い部屋に響く嬌声。

自分自身でも知らない私の乱れた姿をジークは何もかも知っていると思うと、何とも不快でゾクゾクと鳥肌がたった。

ジークが言うように。私はベッドの中で一体どんな姿を晒け出していたんだろう.......。

「ずっと、成瀬の名前を呼んでたよ」

私はジークの腕の中でさえも広務さんを求めていた?

「酔いつぶれた君をベッドに寝かせると、夢うつつにずっと成瀬のことを呼んでいたよ」

想像していた事と、どこか辻褄が合わない。

「ジーク......あなたは酔った私をベッドへ寝かせて、それから私達は......?」

私は事の次第を完結させようと、ジークに次の展開を促した。

「優花......、あの夜、オレと君は何もなかった」

覚悟を決めて質問したはずが.......ジークの返答は意外なものだった。

「......!」

驚愕の答えに私は言葉を失った。

黙りこくった私を前に、ついにジークは重い口を開き、あの夜の全真相を語り始めた。

「君と偶然バーであった日、オレは一目で分かったよ。君が思い悩んでいる事は間違いなく成瀬の事だって。そう考えたら、激しい嫉妬心が芽生えた」

深夜をとうに回り客が引き始めたバーカウンター。ジークはすっかり氷が溶け出して随分と薄くなった酒をグッと呷り、”しんしん”と言った。

私は注視して彼の話を聞き続けた。

「君が酔いつぶれてオレの部屋に来た時、確かに、このまま君をオレのものにしてしまおう.......。そういう魔が差したのは本当だ。でも、君は頑なに成瀬のことを呼び続けてて、嫉妬心に駆られたオレは身体を奪うよりも、もっと酷い仕打ちをしてしまった」

「私に記憶が無いことをいいことに、あなたは私を抱いたと嘘をついたのね」

「.......オレは、ずっと君に嘘をついていた」