真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

つっ、ついに.....っ!!

ジークの家族と扉一枚隔てた状況で、腰が抜ける寸前までビビリまくっている私をほっといて、御曹司は、”コンコンコン”と余裕でノックをかました。

「I’m home〜. I'm home〜.」

”ギギギギギ.......ッ”と、擬音を鳴らしてスローモーションで開きそうな、社長室の禁断の扉を息子であるジークはどこまでもアットホームに訪ねる。

その光景を固唾を呑んで見つめていると、程なくして”カチャッ”と、意外にもチープな開閉音とともに扉が開け放たれた。

中から出迎えたのは、絵に描いたような金髪美女。

『おかえりなさいっ! ジーク! 会いたかったわ!』

女性は、ひしとジークに抱きついて両頬にキスをした。

『ただいま、ジーナ。 久しぶりだね。どう、変わりない? 困るよ〜、フィアンセの前で熱烈なキスは』

ジークと女性は親しげに互いに笑顔を向け合って会話を弾ませた。この時点で、英語が全く話せない私は二人がどういう話をしているのか分からず、ただポカンと間抜けに二人のやりとりを傍観していた。

何やら一通り話が済んだらしく、もう一人足りないと気がついたジークは、ようやく私に女性を紹介してくれた。

「紹介するよ。この人はジーナ。社長秘書さ」

「I’m yuuka. nice to meet you......」

かろうじて知っている片言の英語で精一杯の挨拶をした。すると、よほど見ていられなかったようで、ジークは、すかさずフォローにまわった。

「優花、ジーナは日本語OKさ。だから気兼ねなく話して」

「ネイティブの優花さんには到底かなわないけれど、楽しくお話できれば嬉しいです。今日はお会いできて本当に光栄です」

天は与える人には二物も三物も与えるんだな......。

美貌も知性も人柄も、私には何も勝ち目もない完璧なジーナさんに圧倒されて口ごもる。

しかし、そんな状況の時でさえジーナさんはスマートに対応してくれて、快く社長室の中へ案内してくれた。

「ボスに、お知らせしてくるわ」