真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

仲直り......?

朝焼けを背景に口づけを交わした私達は、その後今日迎える大切なイベントのために慎重に準備を始めた。

まずは身支度を完璧にする。派手すぎず地味すぎず、華やかで尚且つ信頼性を備えたフォーマルなワンピースを身に纏い、それに合わせてメイクアップも好感を持たれるようにシフトする。

私がジークの婚約者として彼の御両親の前に出るという事に、並々ならぬ緊張感を携えている一方で当のジークといえば、

「何にも緊張する事はないよ。父さんも母さんも、絶対に優花を気に入るし、それに随分と前から優花のことは両親に話してたんだ。オレが日本に来て、すぐの時くらいからね。同じマンションの隣の部屋の女の子がとても素敵な子なんだって。だから、オレの両親は今日優花に会えるの、すごく楽しみにしてるんだ」

「そうなのっ? それは光栄だけど、すごい、プレッシャー感じちゃう......っ。どうしよう、御両親をがっかりさせちゃったら.......」

「がっかかりなんて、しないよっ! そういう謙遜するところも優花の魅力のひとつだけど、優花はもっと自信を持つべきだよ」

自信......か、

私のどこに自信を持てる部分があるというの?

自分じゃ自分の魅力なんて全然わからないし、というか、私に魅力なんてない。そう、思ってしまう。

もし、私に自信や魅力があったら、今の人生と全然違う人生をきっと送ってた。

今の人生と違う人生ーーその第一歩は、まず実の母に愛される人生。

幼少期に母親の愛情に恵まれなかったという事実は、この今の自分に対する劣等感を生み出している要因である事は間違いない。

それはジークと接していて、ほとほと思い知らされる。

ジークは私とは対照的に、根は自信家で快活で人に対して間口が広い。だから、彼はこんな私でも認めてくれて受け入れてくれてる。

ーーこれからは、もっとジークを大切にしなきゃ。

自分の過去の傷にしがみつくのはやめよう。

母の事は夢物語だったと思おう.......。