真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

「やっ.......! だめっ!」

「だめじゃない。優花はもう、とっくにオレのものなんだから.......」

ーー”ドサッ!!”という勢いのある音とともに、キングサイズのベッドへ身体を沈まされて、その上から間髪入れずにジークが覆いかぶさってきた。

「だめっ!! やめてっ!! ジーク!!」

嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!! 

助けて!! 

ーー広務さん!!

「嫌っ!!」

”グッ!!”と、持てる力いっぱいでジークを押し返そうと、私は必死で抵抗していた。その有様は自分自身でも異様だと、頭の片隅で冷静なもう一人の自分が分析していた。

私、本当に嫌なんだ......。

広務さんじゃないと、嫌なんだ。

「う......っ、くっ......」

喉の奥に唾を押し込み両手で拳をぎゅぅっと握って、迫り来るジークの身体を押し返す動作を何度か繰り返しているうち、それまで執拗に私の首筋や唇に触れようとしてきたジークの動きが止まった。

難を逃れた私は、クタクタになりながらジークから目をそむけた。

「また、オレ......。ごめん。本当に......」

それでも私は無言だった。

「無理強いして、ごめん。 分かってるんだよ、オレ。でも......、どうしても優花がほしい」

「.......」

返す言葉の見つからない、沈黙を貫き通す私にジークは寄り添い後ろから強く抱きしめてきた。

逞しく弾力のある男らしい腕、微かに触れる、さらりとした金髪、ユニセックスの香水の香りーー。

全てが、広務さんじゃない男(ひと)。

「優花......愛してる」

「......ジーク、私......」

「いいから。何も言わないで。今日は、このまま抱き締めさせて」

ーーあなたと私の間に愛は結ばれていない。

でも、もう戻れない。

明日、私はジークの御両親にお会いする。