真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

ここがニューヨークーー。

空港からタクシーを拾い一時間足らず走ると、想像してた以上に騒がしく奇抜な街並みが姿を表した。

「すごい......」

初めて見る海外の風景と今まで経験したことのない、足が宙に浮くような摩訶不思議な疎外感。ここでは私の方が外国人。

街行く、ほとんどの人達が、たぶん日本語は話さないし、日本で生まれ育ったという人も、きっと少ない。

もし私がこの街で独りになったらと思うと、今日泊まるホテルにだってたどり着つける自信がない。そう思ったら.......、

「うん.......?どうしたの優花?」

急に身を寄せてきた私に、ジークはそれまで見せたことのない庇護を含んだ愛しげな眼差しをむけた。

この男(ひと)ーー、こんな瞳をすることもあるんだ……。

意表を突かれた私はジークの顔をまじまじと見据えて、そのまま暫し私達は過密した雑踏の中で見つめ合った。

「この街のカップルは、みんな人目を気にせずキスを交わし合う……」

そう言いながら、ジークは私の背中に腕をまわして、それから腰に手を添えて、視線を近づけてきた。

「っ……」

条件反射的に思わず目をつむりそうになった時、塞がれて行く視界の隙間に、ジークの金色の髪のその向こうに、すっと伸びたビジネススーツの足元が見えた。

あの男(ひと)はーー。