真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

「広務さんっ......!」

突然の俺の登場に驚いた優花はハッとして目を大きく見開くと、瞳を潤ませながら俺の名前を呼んだ。その声は少し震えていた。

「出張、明日までって言ってたのに......」

「優花に早く会いたくて、仕事ほったらかしてニューヨークから飛んで帰って来た」

「......また、嘘でしょ? そんなの。広務さんが仕事ほったらかすわけないじゃない」

「うん、嘘。実はね、仕事よりも、ずっとずっと大切な用事があって、ニューヨークでの仕事を早々に片付けて一日早い便で帰って来たんだ」

俺の意味深な発言に優花は困った風な笑顔を浮かべながら小首を傾げた。その仕草が、かわいいのと何だか今日の彼女は普段より大人しいような感じがして、気になった俺は彼女をまじまじと見つめた。

しっかりと俺の目に映った優花は、いつも通りに愛くるしかった。しかし、どことなく違和感を感じた。

そういえば、少し面やつれしたような......。

「なんだか、ちょっと痩せた......?」

「そっ、そう? ダイエット成功かなっ......。ところで、広務さんの仕事よりも大切な用事って、なに......? 今日、すっごく素敵な格好してるし、何かパーティーでもあったの?」

「パーティーは、これからだよ。俺と優花、二人っきりでパーティーしよう......。フレンチのレストラン予約してあるんだ。優花は、ダイエットする必要なんて全然ないよ。今夜は美味しいもの、たくさん食べて」

ごく自然に彼女をサプライズプロポーズへ誘導する。

予約しておいた夜景の見えるフレンチレストランへ向かおうと、彼女の手を取ると、真冬の寒さに晒された細い指先が芯まで冷え切っていて、その冷たさに強い庇護欲が込み上げた。

俺は優花の手をしっかりと握り、ジャケットのポケットに入れて温めながら夕闇の街を歩いた。