足並みを崩して、エントランスの出口を背にして、私の手をしっかりと手を繋いで......、広務さんは去り際にジークへ落ち着き払った口調で言った。
私はジークと目が合う事が怖くて、俯きながら身体を強張らせ、じっと黙っていた。
ジークも黙ったままだった......。
ジークが何も反論して来ない事を見届けた広務さんは、再び私の手を引きながら歩み始めた。
マンションの外まであとわずか。
この場を彼と共に立ち去れば全てうまく行くーーそう信じて止まなかったはずなのに。ジークに”でたらめ”と言った広務さんの落ち着いた声を聞いたら、それに対して沈黙を貫いたジークの様子を見たら、私は自分が如何に卑怯な事を考えていたかようやく目が覚めて、今は広務さんのかかとが視界に入るたびに杭で突かれているように胸が痛い。
それでも。自らの口から真実を告げる勇気など到底持てずに、黙って彼と手を繋いでマンションの外に出た私を待っていたのは、朝日を反射してより輝きを増した真っ白な彼の愛車だった。
「駐禁取られてなくて良かったよ」
運転席に乗り込んだ彼は先ほどの惨事など、なかったことのように軽やかに言った。
一方、私は彼のテンションに合わせることができずに、重く沈んだまま俯いた顔をより下げるようにコクンと頷いた。
「......嫌な思いさせて、ごめん」
惨状を抜け出しても気分が戻らない私に、彼はハンドルを握りフロントガラスの外を見つめながら言った。
「......っ、違......っ」
私はジークと目が合う事が怖くて、俯きながら身体を強張らせ、じっと黙っていた。
ジークも黙ったままだった......。
ジークが何も反論して来ない事を見届けた広務さんは、再び私の手を引きながら歩み始めた。
マンションの外まであとわずか。
この場を彼と共に立ち去れば全てうまく行くーーそう信じて止まなかったはずなのに。ジークに”でたらめ”と言った広務さんの落ち着いた声を聞いたら、それに対して沈黙を貫いたジークの様子を見たら、私は自分が如何に卑怯な事を考えていたかようやく目が覚めて、今は広務さんのかかとが視界に入るたびに杭で突かれているように胸が痛い。
それでも。自らの口から真実を告げる勇気など到底持てずに、黙って彼と手を繋いでマンションの外に出た私を待っていたのは、朝日を反射してより輝きを増した真っ白な彼の愛車だった。
「駐禁取られてなくて良かったよ」
運転席に乗り込んだ彼は先ほどの惨事など、なかったことのように軽やかに言った。
一方、私は彼のテンションに合わせることができずに、重く沈んだまま俯いた顔をより下げるようにコクンと頷いた。
「......嫌な思いさせて、ごめん」
惨状を抜け出しても気分が戻らない私に、彼はハンドルを握りフロントガラスの外を見つめながら言った。
「......っ、違......っ」


