「ちょっ、一ノ瀬さん!?」
「廉」
彼は甘い声を耳に流し込む。
「抱いてる時しか呼んでくれないのか?」
「だ……っ、」
真っ赤になる私を見て「可愛い」と言ってまたキスを一つ。想像以上に甘い廉さんに温かさが胸にいっぱい広がった。
「ふふっ」
「何を笑ってるんだ?」
「だって、廉さんがヤキモチなんて似合わないですよね、会社だったら絶対見せないんだろうなぁって」
「会社も何もお前以外に見せてねぇし」
じゃあ本当の姿は私だけのもの。
私だけが知ってる一ノ瀬さんの本当の顔。
仕事も出来て、ルックスもよくて、性格まで完璧な上司は……。
裏の顔で本当の顔はヤキモチ妬きで、ちょっと可愛い人でした。
―END―


