「んん」

ちいさなうめき声。



はっ、として振り返る。


お母さんが起きた。



お母さんは、

眠たそうな顔で私を見ると、



「できそこない」と、つぶやいた。




「…」

なにも、感じない。


大丈夫、大丈夫、大丈夫。


「朝ごはん、置いておくね。」


大丈夫、大丈夫。


朝ごはんに、ラップをかけて、

早くも、この部屋からでたかった。



「ねえ、」呼び止められ、体が固まる。


お母さん、




私はどうして、あなたに、

こんなにも、怯えているの?


なんで、

怯えなきゃならないの?



「明日は、帰ってこなくていいからね」

ハスキーな声。


お母さんのタバコの煙が、

私の体にまとわりつく。



気持ち悪い。


ねえ、ねえ、お母さん。




「うん、分かった」

無理矢理の笑顔をべったりと、はりつけ、

そう言うと。



「変な顔」って。