私に恋した誘拐犯

「あ、あー、うん、はい」

微妙な返事をするハギ。

目は、泳いでいる。



「じゃ、リビングで」

私はすたこらと、ハギの部屋を出ていく。



まって、だめ。

洗面所に行き、鏡を見ると、

私の顔は赤く染まっていた。


だってだって、こんなこと初めてなんだもん。


うん、そう。


相手が誰でもこうなってた。


たとえ、誘拐犯でも。



「はぁ」

ひとつ、ため息をつき、

私はリビングに戻った。