知らない、なんて、

他人行儀かもしれない。


でも本当に何も知らないの。

名前も、年も、なにもかも。


でも、お母さんは好きになったんだ。




お母さんは、

4回離婚した。

結婚も、4回。


1回目の本当のお父さんのことだけは、

あまりよく覚えている。


小学生の4年生くらいに、突然いなくなった。


お母さんは、


泣いていた。


私が悪いの、と私を抱きしめながら。



小学六年生の時に、

新しいお父さんが来た。


耳を塞ぎ込んだ私は、

学校以外はほとんど家にこもった。


そのお父さんは、強制的に私を関わりを持とうとはしなかったものの、

毎朝と毎晩。

私の部屋の前に、

食事を準備してくれた。


形の悪いオムライスだったけど、あったかくて美味しかった。


たしか、その二人のお父さんには、子供がいた。

すれ違っても、向こうは挨拶しかしないし、

私も興味がなかったんだけど。


まだ、こんな日々は楽だったのかもしれない。



幸せ、というのに、お母さんは、

ほかの男を連れ込んだ。