私に恋した誘拐犯

「俺がなんかしようもんなら、刺してええ。ってゆーか、そんなんせーへんねんけどな」


な、と笑うハギ。



私は、こくん、とうなづいて、


足を踏み出した。







マンションといえども、広い家。

スッキリとしたリビングは、余計なものが置いてなくて、居心地が良さそう。



知らない男の家なんて、始めて。



「そこへん座ってて。」

「あ、うん」



ほのかに香るコーヒーの匂い。



「君は、コーヒー牛乳よな」


「え、」


「なんで知ってんのって顔してるで」



うん、この人はなんでも知りすぎている。