私に恋した誘拐犯

雨は、さっきより弱まっていた。



がちゃん、

ハギは鍵を開けた。



ごくり。

入ったら、多分、もう逃げられない、よ、ね




「そうやんなあ、こわいよなあ。」


ハギは、怯えた顔の私を見ると、ウンウン、とうなづいて、先に家の中に入ってしまった。



は?え?

なになに。


テキトーに入って来いって?



ええええ


困っていると、また、ドアが開いた。





「ひっ」

ハギの手には、ナイフ。



「へ、…?」

こ、ろされる?




「ちょっ、まてや、ちゃうから、これ、持って」

ハギは、私にナイフを手渡した。