私に恋した誘拐犯




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「れいちゃん、いま、お母さんいないんだ」


タバコの匂い。


震えるからだ。


刺青が、見えて。



「いや、いや」



「逆らうの?」



やだやだ来ないで


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「おい、おい」


体を揺さぶる感覚。



「ん、」

あ、寝てた



結局寝てた



しかも、嫌な夢見たし…


しかも、ハギ、夢じゃない、本物。




「うなされてたんやけど大丈夫か?」

私の顔をのぞき込むハギ。



「ひゃっ」

唐突なもんだから、

驚いて仰け反る私。



ハギは、ふっと笑った