俺の名前は織野 颯太。高1。部活には入ってない。ダンスを習っている。まぁ、スポーツ全般できるけど。

自慢じゃないが、俺はモテる。
入学してから毎日のように告白される。
ファンクラブもできているようだ。

今、俺には悩みがある。それは、同じ学校の女子にストーカーされていることだ。
毎日毎日朝、俺が電車に乗ってから夕方、学校を出るまでずっとつけられている。でも、今日は違った。
学校を出てからもついてくる。
家までついてこられても困るから一旦学校戻って篤樹を待つことにした。
篤樹は俺の幼馴染で家も隣だ。
人望も厚く、モテる。
篤樹はサッカー部に所属していて、1年でレギュラー入りした。1年でレギュラー入りしているのは篤樹だけ。
俺の自慢の幼馴染だ。

サッカー部が練習しているグラウンドの方に行くと、女子の歓声が聞こえた。
どうやら試合形式の練習をしているらしい。

「篤樹は…お、いた。」
サッカーをしている篤樹はすごくキラキラしている。そして、すごくうまい。
サッカーをしている篤樹に見入っていたら、肩をトントンと軽く叩かれた。
「ん?」
振り返ると、そこにはストーカー女がいた。
(げっ!!)
完全に油断してた。
「あ、あの、す、好きです。付き合ってください!」
突然そんなことをいわれた。
(は?)
一瞬、言葉が理解できなかった。
俺が言葉を理解できないでいると、
「あ、あの、その反応はOKってことですか?」
なんて女が言ってきたから、こいつはバカなんじゃないかと思った。
誰がストーカー女と付き合うか!
「ごめん。俺、君が誰か知らないし、知るつもりもない。だから俺に近寄らないでくれる?じゃあね。」
そう、冷たく言い、休憩している篤樹のもとへ歩いて行った。
篤樹は女子に囲まれていて、大変そうだった。
「篤樹ー」
俺が篤樹を呼ぶと、篤樹を取り囲んでいた女子達が一斉に俺を見て、騒ぎ出した。
「キャー!!そぉたくぅーん♡キャー!」
うるさい。
篤樹は部活中もこんな奴らに構ってやってるのか。大変だな。
「篤樹、お疲れ」
って、言ったら篤樹の顔がぱぁっと輝いた。
「おう!てゆーか帰ってなかったの?」
「うん。何時に練習終わる?一緒に帰ろ。」
夏休み前日だというのにサッカー部はいつも通り練習がある。
「んー。6時頃だなー。それまで待てる?」
「うん。」
「寝てていいからな?」
「うん。」
篤樹は妹がいるせいか、面倒見がいい。

集合がかかり、篤樹も行ってしまった。女子達は他の1年部員により練習の邪魔にならない所に行くように言われ、俺の周りには人がいなくなった。これで気持ちよく寝られる。ベンチに横になり、うとうとし始めた俺のところに篤樹が戻って来た。
「ここ日陰だからこれ掛けとけ。」
と言ってジャージを掛けてくれた。
パシャパシャとスマホのシャッター音がする。
ふと、音の鳴る方を見ると俺と篤樹の写真を撮っている女子達に混じって、あのストーカー女が写真を撮っているのが目にはいった。
(まだ居たのかよ。まぁ、いいや。眠い。)
俺はそのまま寝てしまった。