あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」

俺たちとの動画がエマの後押しになればいいし、俺たちもまたエマのおかげでうまくいくなら、WIN & WINだ。

「和音、エマは顔を隠す必要ないだろう?」

「だよな。レスにもエマだとバレて……」

『速水さんがさ。エマの気持ちが定まるまで待つようにって』

「何かエマを利用しているみたいでイヤなんだけど」

「だな……」

言われてみれば確かにそうかもしれないなと、お互いの顔を見合せる。

だけど、エマも俺たちも実際、切羽つまっている状況で、きれいごとなど言っていられないのは重々、承知している。

たった1年の休止だ、療養のため留学する時は思っていた。

それに俺は帰国した時、空港に駆けつけてくれたファンや冷やかしに来たマスコミを避けるために、到着時間をずらした。

上手く喋れない、乞音は治らなかった……ことを聞かれたくない、そんな理由のために。