仁科先輩の和音くんへの眼差しは何処か、保健室の先生に似ている。
「大丈夫か」と、 問いかけるような笑顔で和音くんの顔を覗きこむ。
「意固地になってやしないか? 喋ろう喋ろうとして。伝える手段を他に知らないわけではないだろう? 小日向はあんたが留学している間も手話をずっと習っていた。そうだろ? 小日向」
「はい……」
「見ていて辛いよ。あんたが喋れるようになりたいのは解る。でも、そうやって拳を震わせ強張った表情で話しているのを見ているのは、辛い。少しは頼れよ。言いたいことが伝わらなきゃ元も子もないだろ」
「……に仁科」
「尾崎だって本気でさっきの言葉を吐いたわけではないだろ、なあ?」
言葉というのは不自由だと思った。
吃音しながら話す和音くんの聞き取り辛い言葉を聞き取る以上に、言葉から人の心を読み取るのは難しいことをしみじみと感じた。
「大丈夫か」と、 問いかけるような笑顔で和音くんの顔を覗きこむ。
「意固地になってやしないか? 喋ろう喋ろうとして。伝える手段を他に知らないわけではないだろう? 小日向はあんたが留学している間も手話をずっと習っていた。そうだろ? 小日向」
「はい……」
「見ていて辛いよ。あんたが喋れるようになりたいのは解る。でも、そうやって拳を震わせ強張った表情で話しているのを見ているのは、辛い。少しは頼れよ。言いたいことが伝わらなきゃ元も子もないだろ」
「……に仁科」
「尾崎だって本気でさっきの言葉を吐いたわけではないだろ、なあ?」
言葉というのは不自由だと思った。
吃音しながら話す和音くんの聞き取り辛い言葉を聞き取る以上に、言葉から人の心を読み取るのは難しいことをしみじみと感じた。



