「あの、ちゃんと話してもらえませんか。聞き取りづらいし、苛々しちゃうんで」
和音くんが愛美の一言に、眉を顰め「あっ」と声を漏らす。
キュッと噤んだ唇が微かに震え、足の付け根で拳を握り、愛美を見据えている。
愛美は和音くんが吃音で、まともに話せないことをじゅうぶん知っているのにと、あたしは感情を抑えきれず、勢いよく数歩足を踏み出した。
ガラガラガラッと扉が全開になる。
「そんな言い方ないんじゃないか?」
仁科前副部長が愛美を見下ろし、睨みつけていた。
「仁科先輩……」
「言い過ぎだろ、尾崎。合わないのが全部、川元のせいにするのもどうかと思うし。なあ、有栖川」
和音くんの元クラスメイトの仁科先輩は、和音くんが中学生の頃を知っている人だ。
吃音のひどい和音くんを苛めから、いつも見守り助けていた人。
和音くんが愛美の一言に、眉を顰め「あっ」と声を漏らす。
キュッと噤んだ唇が微かに震え、足の付け根で拳を握り、愛美を見据えている。
愛美は和音くんが吃音で、まともに話せないことをじゅうぶん知っているのにと、あたしは感情を抑えきれず、勢いよく数歩足を踏み出した。
ガラガラガラッと扉が全開になる。
「そんな言い方ないんじゃないか?」
仁科前副部長が愛美を見下ろし、睨みつけていた。
「仁科先輩……」
「言い過ぎだろ、尾崎。合わないのが全部、川元のせいにするのもどうかと思うし。なあ、有栖川」
和音くんの元クラスメイトの仁科先輩は、和音くんが中学生の頃を知っている人だ。
吃音のひどい和音くんを苛めから、いつも見守り助けていた人。



