あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」

緊張で震えている川元さんを包みこむような笑顔で「だ大丈夫だ」と、声をかける。

本来なら、それはあたしの役目だと思う。

だけど、川元さんに向けられた和音くんの優しい笑顔があまりにも自然で、和音くんと川元さんに近づけなかった。

中断してしまった合唱を「初めから」と再開しようとすると、愛美が「10分、休憩」と言って、ガタンと音をたてて立ち上がった。

愛美が川元さんに対して「許せない。一緒に練習したくない」という気持ちが、ありありと態度にも出ていた。

愛美が勢いよく扉を開ける。

「愛美」

思わず呼んだあたしの声に「お尾崎」和音くんの声が被さる。

「だ誰にだだってけけ欠点はある。わ解らないこーとも。か完璧ーなに人間ななんか、いいーない」

扉に手をかけたまま、愛美が振り返る。

「か川元も、き昨日のれ練習でじ自分が……」