「また、戻るの?」

「いや、今日はもう終わり。
風呂入って、ゲームでもするよ。
美由、一緒にやる?」

「いいけど、お昼は?食べた?」

「あ、忘れてた!」

「忘れてたって…」

「俺、なんか夢中になると、ご飯とか忘れちまうんだよね。」

「そっか。バスケ楽しかったようで良かった。なんかご飯作るから、一緒に食べよ。
作ってる間、お風呂入っておいでー」

「おー」



うんうん。日常日常。
きっと、こんな感じで、お昼食べて、ゲームやって、ワイワイして、兄さん帰ってきて、晩御飯食べて、就寝して、

明日は学校行ってーって、姉さんいなくても、多分、あんまり変わらない気がする。

これなら、やっていける気がするな。




と思ってたんだけど…






「あーーーー、さっぱりした!!」

お風呂から出てきた隼人は、なぜか下半身にタオルを一枚巻いただけで、

「な、なんで服着てこないのよ!」

「え?だって、体濡れてんのに着るの、あんま好きじゃねーんだよ。」

「い、いつもはちゃんと着てくるじゃん!」

「あれは姉貴がうるさいからさー。」

「わ、わたしだって、うるさいよ!」

「美由のうるさいは、うるさいに入んないよー」

「〜〜〜〜〜!」


隼人から目をそらし、お昼ご飯用に作っていたフライパンの中のオムライスに集中した。

視界に入れなければいいんだ!
たかが、裸じゃないか。
ちゃんと、タオルだけど、隠すべきところは隠してあるし。
なにも動揺することないじゃない、うん。


「で、お昼なに?」

「!!!!!」

後ろから、ひょこっと首を出して、フライパンの中を覗いてくる。

ち、近い!!!!
しかも、なんか、いい匂いするし…
あ!シャンプーか!


「あ!オムライスじゃん!
美由のオムライス、俺、すっげー好き!」

「そ、それは何より…」

「?さっきから、美由どーした?」

今度は顔を覗き込まれる。

ちょっ、ちょっと、ち、ちちち近い!!

「俺の裸、そんなに気になる?」

「……き、気になるわけないでしょ!!
そ、それより!隼人、今日、なんか、ち、近い!!」

「そう?」

「ハイ。…ちょっと近いデス…」

「くすっ、わりーわりー。
……姉貴いねーから、つ……」

「ん?」

「…なんでもねーよ。
純情美由ちゃんで遊びたかっただーけ」

「……はぁ?!」

「まーまー、そんな怒んないの。
オムライス冷めちまうよ、早く食べよ!」

「う〜〜〜、冷めちゃうから一緒に食べるけど、許したわけじゃないからね!」