香織姉さんは、基本優しいんだけど、隼人のことになると、迫力が増すというか、ちょっと怖いというか…



ふぅ…さて、今日はどうしようかな。
あの後、姉さんは転勤が決まったので、会えなくなる友人たちと遊びに行くと出かけてしまった。



今日は日曜日。
兄さんは休日出勤で、隼人は…朝早く出かけていったけど、バイトかな?



もうすぐお昼。
冷蔵庫、何かあったかなー

……でも、ほんと、姉さんいなくなったら、どうなっちゃうんだろう。
家事も全部私がやらなきゃかな。
今まで女子で分担してたけど…
いや、兄さんと隼人にも頼むべきかな。

私だって、この家にずっといられるわけじゃないし。
あと、一年で出ていかなきゃだし。

んー、でも、二人ともやってくれるかなぁ?
兄さんは仕事忙しそうだし、只でさえ、稼いできてもらってるのに、家事やらすのは…

でも、兄さんやらないのに、隼人だけやれっていうのも、なんか言いづらいなぁ…





「ただいまー」

「ん?誰だろう?」

振り向くと、茶色い髪にベージュのパーカーを着た隼人がいた。
なぜか、汗だく。

「あれ?美由ひとり?姉貴は?」

ズカズカと私に近寄り、なんとも言えない距離感の中で、隼人は冷蔵庫をあけた。
イオン飲料水をがぶ飲みしてる。

「あーぁ、また、ラッパ飲みして、香織姉さんに怒られるよー」

「美由が言わなきゃバレねーよ。」

いたずらっぽく片目をつむる。

「で、姉貴は?」

「えっと、友達とお出かけ。」

うっかり、転勤決まったからって言いそうになったけど、隼人には転勤自体言ってないのかな?
ちょっと不安になったから、そこは言わないことにした。

「ふーん。そっか。」

「隼人は?今日バイトじゃなかったの?」

「バイトじゃねーよ。友達と朝からバスケしに行ってたんだよ。」

「あ、だから、そんな汗だくなんだ。」

「そーそー。」