何の音もしない。
私は少し不安になってきて、部屋のドアを開けた。

すると、ベッドに潜り込んでる隼人がいた。

「隼人。はーやーとー」

「あっちいけ。」

「ねぇ、隼人、どうし…」

被ってる布団を剥ぐと、真っ赤な顔の隼人がいた。

もしかして…!!

私は隼人のおでこに右手をあてた。

やっぱり。

「隼人、熱出てるでしょ。」

「うつるから、早くあっちいけ。」

「何馬鹿なこと言ってるの!薬は?ご飯は?」

「こんなの寝てれば治る。」

「治らない!あーもう、だから、昨日早く着替えてって言ったのにー。
いろいろ用意してくるから、待ってて。」


私は着替えた後、卵雑炊を作って、それと解熱剤を持って、部屋に戻った。

恭介兄さんには一応風邪のことを告げたけど、

「美由が面倒みてくれるなら大丈夫かな。
何かあったら、教えて。俺、明日早いから、もうそろそろ寝るから。」

と言って、部屋に行ってしまった。


「はい。とりあえず、これ食べて、薬飲んで。」

「……兄貴と姉貴は?」

「兄さんは寝るって言ってたよ。姉さんはまだ帰ってきてない。多分、そろそろ帰ってくると思うけど。」

仕事終わりにまた友達と飲みにでも出かけたのかも。

「そっか。」

「はい、とにかく、食べて。」

スプーンに適量すくって、冷ました後、口元に運ぶ。

「子供じゃないんだから、自分で食えるよ。」

スプーンとお皿を私から奪い取って、自分で食べ始める。

「ん、おいし。」

「それは良かった。
あ、あのさ、隼人。今日のことなんだけど…」

「なんで、避けてたの?」

「え?」

「ずっと、避けてたからさ。」

「どうして、わかったの?」

「…………美由がわかりやすいからだよ。」

「そっか…。
私たちさ、最近、なんか変な関係でしょ?
バカにしたり、されたり。会話の間に上の空だったりとか。
それが嫌だから、少し離れてみたの。

でも、私は昔みたいに仲良くなりたいんだって、中学生の時みたいに、一緒にふざけたりしたいんだなって気づいたの。」

「……無理。」

「ど、どうして?
やっぱり私のこと邪魔?嫌いになった、とか?」

「邪魔でもないし、嫌いでもないよ。」

「なら…」

「でも、無理。昔みたいに出来ない。」

「…よくわかんない。
ほんとによくわかんないよ!!」

涙が溢れてくる。

「隼人が何考えてるか、全然わからないよ!
どうしたらっ…」

急にのびてきた、隼人の手に引っ張られたと思ったら、
唇に隼人の唇が触れた。


「い、今、な、なに、し…!!」

「美由にこうゆうこと、したくてしたくてたまんねーから、昔みたいに仲良くできねーんだよ。
これで、わかった?」

「……わ、わかんないよ!」


私は足早に隼人の部屋を飛び出した。
ファ、ファーストキスだったのに…
隼人に…されるなんて…



「ただいまー!」

「あ、香織姉さん。」

「あら、どうしたの?」

「な、なんでもない。隼人、熱あるみたいだから、雑炊と薬渡したけど、あと、みてもらってもいい?
私、宿題やってなくて…あ、あとお風呂もまだで…」

「隼人が熱?久しぶりね〜。
うん、もう大丈夫だから、美由はお風呂入って、宿題やって、さっさと寝ちゃいなさい。」

「ありがとう。」